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「愛してま〜す!」 あの太陽のような叫びも、2026年1月4日の東京ドーム大会でついに聞き納めとなります。
新日本プロレスの「100年に1人の逸材」棚橋弘至選手。 彼の凄さは、単にチャンピオンベルトを巻いた回数ではありません。
観客動員が激減した「暗黒期」の新日本プロレスを、ボロボロになった膝で支え続け、V字回復させた「物語」にこそ、私達は心を揺さぶられるのです。
今回は、引退試合(WRESTLE KINGDOM 20)を前に絶対に見返しておきたい、「棚橋弘至の名勝負・ベストバウト5選」を厳選しました。
ハンカチを用意して、あの熱狂を振り返りましょう。
それでは、最後までどうぞ!
【前提】棚橋弘至の名勝負・ベストバウトの選定基準
数え切れないほどの名勝負の中から、今回は以下の3つの基準で「運命の5試合」を選び抜きました。
- 歴史的転換点となる試合
- エモーショナルな感情を抱かせる試合
- 引退試合(vs オカダ・カズチカ)との関連
どれも棚橋弘至選手を語るうえで欠かせない試合となっています。
引退試合前に見ておきたい試合ばかりなので、本記事を参考にしっかりと目に焼き付けておきましょう。
第5位 vs ケニー・オメガ(2019.1.4 東京ドーム)
| 大会名 | WRESTLE KINGDOM 13 |
| 対戦カード | IWGPヘビー級選手権試合 ケニー・オメガ(王者) vs 棚橋弘至(挑戦者) |
当時、圧倒的な運動能力と危険な技で世界中を熱狂させていた王者ケニー・オメガに対し、棚橋弘至は「品がない」と真っ向から噛みつきました。
それは、「強さこそ正義」というケニー・オメガの新しい価値観に対する、伝統的な新日本プロレスの守護神としての最後の抵抗でした。
満身創痍の体でケニーのハードヒットを受けきり、最後は自身の代名詞であるハイフライフローで勝利。
平成最後のイッテンヨンを「愛してま〜す!」で締めたこの試合は、「棚橋弘至がまだ新日本に必要であること」を世界に証明した一戦でした。
第4位 vs 武藤敬司(2009.1.4 東京ドーム)
| 大会名 | WRESTLE KINGDOM III |
| 対戦カード | IWGPヘビー級選手権試合 武藤敬司(王者) vs 棚橋弘至(挑戦者) |
若き日の棚橋は、常に偉大すぎる師匠・武藤敬司と比較され、「武藤のコピー」と揶揄されていました。 しかも当時は、他団体(全日本プロレス)の社長となっていた武藤敬司に、新日本の至宝IWGPベルトが流出しているという非常事態。
団体の威信をかけ、かつての師匠に挑んだ棚橋は、武藤の得意技をあえて使い、最後は自身の必殺技ハイフライフローで勝利します。
試合後、腰にベルトを巻いた棚橋の姿は、もう誰のコピーでもありませんでした。名実ともに「棚橋弘至の時代」が幕を開けた、エース覚醒の瞬間です。
第3位 vs 柴田勝頼(2014.9.21 神戸ワールド記念ホール)
| 大会名 | DESTRUCTION in KOBE |
| 対戦カード | スペシャルシングルマッチ 棚橋弘至 vs 柴田勝頼 |
この試合を語らずして、棚橋弘至は語れません。
2000年代の暗黒期、新日本プロレスを見限って退団した柴田勝頼と、泥水をすすって会社に残り、再建に尽力した棚橋弘至。 かつて「新闘魂三銃士」として期待された二人の道は、完全に決裂していました。
10年の時を経てリングで再会した二人の戦いに、華麗なテクニックは必要ありませんでした。あったのは、憎しみにも似た意地と、深い愛情。
「お前が新日本を守ってくれたから、俺は今日このリングに帰ってこれた」
試合後のリング上で柴田が残した言葉。そしてリング上で交わされた、涙の握手。 二人の10年間のわだかまりが溶けた瞬間、会場中が涙に包まれました。技術論を超越した、魂の喧嘩マッチです。
第2位 vs オカダ・カズチカ(2012.2.12 大阪府立体育会館)
| 大会名 | THE NEW BEGINNING |
| 対戦カード | IWGPヘビー級選手権試合 棚橋弘至(王者) vs オカダ・カズチカ(挑戦者) |
2026年の引退試合の相手、オカダ・カズチカ。 二人の物語の「最初の1ページ」がこの試合です。
当時、絶対王者として君臨していた棚橋に対し、海外武者修行から帰国したばかりの24歳のオカダが挑戦。「時期尚早だ」というファンの声をよそに、オカダは必殺技レインメーカー一発で棚橋を沈めました。
後に「レインメーカーショック」と呼ばれるこの事件により、新日本プロレスは「棚橋一強時代」から、さらに激しい「棚橋・オカダの黄金時代」へと突入します。
敗れて呆然とする棚橋の表情。ここから始まった二人の長いライバル関係が、2026年1月4日の引退試合で完結すると思うと、胸が張り裂けそうになります。
第1位 vs 中邑真輔(2015.8.16 両国国技館)
| 大会名 | G1 CLIMAX 25 優勝決定戦 |
| 対戦カード | 棚橋弘至 vs 中邑真輔 |
第1位は、新日本プロレスをV字回復させた二人の主人公、棚橋弘至と中邑真輔によるG1決勝戦です。
2002年入門以来、「太陽」と「月」として全く異なるアプローチで団体を牽引してきた二人。 過去何度も激闘を繰り広げてきましたが、この日の試合はまさに10年以上にわたるライバル関係の「集大成」と呼ぶにふさわしい内容でした。
お互いの癖や技を全て知り尽くし、裏の裏を読み合う極限の攻防。 派手な技の応酬だけではない、二人にしか描けない「闘いの芸術」がそこにありました。
32分を超える死闘を制したのは、ハイフライフロー2連発を放った棚橋でした。 当時、誰も予想していませんでしたが、結果的にこれが中邑真輔の新日本プロレスにおける最後のG1となり、二人のシングルマッチはこれが「最後」となりました。
暗黒期を支え、黄金時代を築き上げた二人が辿り着いた頂上決戦。 「棚橋・中邑時代」の完結編として、プロレス史に永遠に語り継がれる最高の名勝負です。
これらの名勝負をフル動画で視聴する方法(NJPW WORLD)
今回紹介した試合は、YouTubeのダイジェスト映像だけではその感動の10%も伝わりません。
試合前の煽りVTR、入場シーン、そして試合後のマイクパフォーマンスまで含めて一つの「作品」です。
全ての試合は、新日本プロレス公式動画配信サービス「NJPW WORLD」でフル視聴可能です。
特に第2位の「オカダ・カズチカ戦」は、引退試合を見る前に必ず見返してください。 「あの日の試合」を知っているかどうかで、ラストマッチの感動は何百倍にも変わります。

まとめ:棚橋弘至の歴史を知れば、引退試合はもっと泣ける
棚橋弘至選手の名勝負ベスト5、いかがでしたでしょうか。
- 武藤敬司からの自立(2009)
- オカダ・カズチカとの時代の幕開け(2012)
- 柴田勝頼との和解(2014)
- 中邑真輔との別れと絆(2015)
- ケニー・オメガとのイデオロギー闘争(2019)
どの試合も、新日本プロレスの歴史の分岐点には、必ず棚橋弘至がいました。
そして2026年1月4日。 かつて時代を奪い合ったオカダ・カズチカを相手に、棚橋弘至はプロレスラー人生の幕を引きます。
これが最後の「愛してま〜す!」になります。 歴史の証人として、その瞬間を目に焼き付けましょう。


